こんにちは。国内株の配当株投資している永松です。
2020.8.8以降、藤商事(6257)は配当株として「有り」と判断して、配当狙いポートフォリオに組み入れています。
藤商事の業種分類は、機械です。パチンコ・パチスロ遊技機メーカーです。最近では、サン電子(6736)と提携し、アプリも提供しています。
ホラー系の「リングシリーズ」、人気アニメ「緋弾のアリア」、「喰霊」、「地獄少女」などに定評があります。
2020年以降は、「とある魔術の禁書目録(インデックス)」や「とある科学の超電磁砲(レールガン)」が大人気になっています。
パチンコ・パチスロ産業は、規制強化や他の娯楽産業の出現により、ユーザー数が年々減少しています。斜陽産業と言われることもあり、投資対象からはずす方も多いと思います。
しかしながら、レジャー白書2021によると、娯楽産業全体の市場規模55兆2400億円に対し、パチンコ・パチスロ業界はと依然として第一位です。
以上の観点からも、今後減少する見込みが高いものの、投資対象としては十分に検討する価値はあると考えてます。
「藤商事を、配当株として組み入れるか検討中」という方のため、藤商事の配当分析をまとめています。
あくまで個人的な見解で、銘柄推奨するものではありません。配当株投資の参考になれば幸いです。
更新履歴
- 2023年3月期の四半期決算チェックを更新しました。[2022.11.20]
四半期決算チェック
藤商事の業績推移
2013年3月期~2022年3月期の売上高、経常利益、当期利益は次の通りです。
売上高は、2015.3期、2018.3期と盛り返すも減少傾向があります。それに伴い、当期利益とともに減少しています。
2023.3期の業績予想では、売上高は+1.3%の30,000百万円、当期利益は+167%の1,200百万円が見込まれています。
決算期 | 売上高 | 経常利益 | 当期利益 |
2013/03 | 46,991 | 6,317 | 3,123 |
2014/03 | 41,830 | 4,256 | 2,735 |
2015/03 | 56,151 | 7,949 | 4,812 |
2016/03 | 38,166 | 2,052 | 1,237 |
2017/03 | 32,953 | -2,280 | -1,944 |
2018/03 | 52,314 | 4,234 | 2,525 |
2019/03 | 27,971 | 1,499 | 796 |
2020/03 | 25,172 | -2,279 | -4,719 |
2021/03 | 26,927 | 486 | 122 |
2022/03 | 29,606 | -599 | -1,783 |
※単位:百万円
藤商事のキャッシュフロー推移
2013年3月期~2022年3月期の各キャッシュフロー(CF)は次の通りです。
決算期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | 現金・現金等価物 | フリーCF |
2013/03 | 2,554 | -2,679 | -1,183 | 27,431 | -125 |
2014/03 | 3,657 | -2,775 | -1,888 | 26,425 | 882 |
2015/03 | 11,155 | -2,722 | -1,219 | 33,638 | 8,433 |
2016/03 | -2,559 | -4,070 | -1,220 | 25,788 | -6,629 |
2017/03 | -5 | -3,769 | -1,219 | 20,794 | -3,774 |
2018/03 | 11,440 | -3,234 | -2,596 | 26,403 | 8,206 |
2019/03 | -1,874 | -519 | -2,312 | 21,810 | -2,393 |
2020/03 | 1,854 | -1,724 | -1,119 | 20,821 | 130 |
2021/03 | -52 | -1,363 | -1,119 | 18,286 | -1,415 |
2022/03 | 3,068 | -1,358 | -1,119 | 18,877 | 1,710 |
※単位:百万円
営業CFは、直近2021.3期はマイナスに転じましたが、翌年には回復していました。
現金・現金等価物は、やや減少しつつも安定的に推移しています。
フリーCFは、上下を繰り返していて、安定的ではありません。直近2022.3期はプラスとなっています。
藤商事の配当分析
私が分析しているのは、基本的に次の3点です。
- 配当方針
- 配当実績と配当成長率
- 配当性向(当期利益、フリーCFベース)
配当株投資の対象には、「配当利回り4.5%以上」を条件に銘柄スクリーニングしています。
藤商事の場合、株価850円(2022.2.25終値)で、配当が予想通り年50円であったと仮定すると、配当利回りは5.88%です。
配当方針
藤商事の配当方針は、「株主還元について | 株式会社 藤商事」によると、「継続した配当を基本方針」と述べられています。配当性向は具体的な数値では設定されていません。
配当実績と配当成長率
配当に関する基本情報は次の通りです。
- 配当回数:年2回
- 配当権利確定日:9.30(中間配当)、3.31(期末配当)
2017.3期~2022.3期の配当実績、及び2023.3期の配当予想は、次の通りでした。
決算期 | 配当金 | 配当成長率 |
2017/03 | 60 | --- |
2018/03 | 50 | -17% |
2019/03 | 50 | 0% |
2020/03 | 50 | 0% |
2021/03 | 50 | 0% |
2022/03 | 50 | 0% |
2023/03(予想) | 50 | 0% |
基本的には、業績に関わらず、年50円で固定されています。2017.3期のみ10円アップされていました。
配当性向(当期利益・フリーCFベース)
配当性向は、当期利益ベースとフリーCFベースの2通りで算出しています。
米国株投資ではフリーCFベースで分析されます。私はこれを日本株にも応用しています。
フリーCFとは、営業CF+投資CFで算出される数値で、簡単に言えば、企業が自由に使える現金です。
フリーCFは、新たな設備投資、借入金の返済、内部留保、そして配当に使われます。そのため、配当株投資では重要な分析対象となりえます。
フリーCFが潤沢にあれば、配当の増額にも期待できます。一方、フリーCFが少ないのに配当を維持していたら、「そろそろ減配が近づいているかもしれない」と事前にリスクを察知できます。
詳しくは、書籍『「年100回配当」投資術ー日本人が知らない秘密の収入源』を読むと配当投資のレベルがグッと上がります。
2017.3期~2022.3期の配当性向を算出すると、次の通りです。
発行済み株数は、24,395,500株(2022.6.10時点)で算出しています。算出した数値は、若干、公式サイトとが異なります。
決算期 | 当期利益ベース | フリーCFベース |
2017/03 | 非算出 | 非算出 |
2018/03 | 48% | 15% |
2019/03 | 153% | 非算出 |
2020/03 | 非算出 | 938% |
2021/03 | 1000% | 非算出 |
2022/03 | 非算出 | 71% |
2023/03(予想) | 102% | --- |
※数値がマイナスとなるものは、「非算出」と表現しています。
基本的には、当期利益ベース、フリーCFベースの配当性向が100%以下か確認する必要があります。
しかしながら、藤商事は特殊で、業績にかかわらず配当金が支払われるため、参考程度に見ておきましょう。
有利子負債と株主状況に注目
藤商事は、有利子負債が0円で、無借金企業です。
有利子負債とは、会社が利子をつけて返済しなければならない負債です。いわゆる借金です。
下記は、2013.3期~2022.3期の総資産、自己資本、自己資本比率、有利子負債です。
決算期 | 総資産 | 自己資本 | 自己資本比率 | 有利子負債 |
2013/03 | 54,666 | 45,779 | 83.70% | 0 |
2014/03 | 54,214 | 47,004 | 86.70% | 0 |
2015/03 | 64,694 | 51,098 | 79.00% | 0 |
2016/03 | 59,781 | 50,693 | 84.80% | 0 |
2017/03 | 57,370 | 47,210 | 82.30% | 0 |
2018/03 | 60,230 | 47,259 | 78.50% | 0 |
2019/03 | 53,557 | 45,729 | 85.40% | 0 |
2020/03 | 46,657 | 40,006 | 85.70% | 0 |
2021/03 | 50,795 | 40,833 | 80.40% | 0 |
2022/03 | 45,404 | 36,626 | 80.70% | 0 |
※単位:百万円
自己資本比率(総資産に対する自己資本の割合)が80%前後と高く、自社の資金で事業活動をできています。
借金の返済に追われて、キャッシュフローが回らないリスクがなく、安定していると考えています。
また、藤商事は株主状況にも要注目です。
2021.3期時点の大株主は、次の通りです。
株主 | 株数 | 比率(%) |
松元邦夫 | 5,656,000 | 25.25 |
松元正夫 | 5,562,600 | 24.83 |
株式会社松元ホールディングス | 2,900,000 | 12.94 |
松元香揚子 | 700,000 | 3.12 |
藤商事従業員持株会 | 328,700 | 1.46 |
サン電子株式会社 | 290,800 | 1.29 |
松元恵子 | 260,000 | 1.16 |
SMBC日興証券株式会社 | 204,900 | 0.91 |
JPモルガン証券株式会社 | 164,865 | 0.73 |
ティーツー・キャピタル株式会社 | 120,000 | 0.53 |
※持株比率は自己名義株式2,000,045株を控除して計算
松元邦夫 氏は藤商事の代表取締役会長、松元正夫 氏は藤商事の代表取締役副会長、サン電子は提携先、自社従業員持株会と、多くの大株主は、藤商事関連の方々です。
JPモルガン証券は、機関投資家です。
藤商事は、自社関連の特定株で約7割が占められています。結局のところ、配当は自社従業員や関連会社に還元されています。
個人が購入できる浮動株は約14%と少ないため、日々の売買数量は少なく、急激な株価の変動も起きにくいかったです。
過去の株価は1000円~1500円で推移していましたが、2020.3のコロナショックを機に583円と上場来最安値になりました。仮に583円で購入していれば、配当利回りは8.57%とかなり高いです。
増配には期待できないため、株価が安い時に購入できれば、その恩恵は十分に受けれれます。
2022.6.10終値でも850円ですので、配当利回りは5.88%とまだまだ魅力的です。さらに、藤商事は純資産多く、PBR(株価純資産倍率)は0.52と低いです。
藤商事に関しては、配当の継続性と共に、株主状況変化には十分に注意を払っておく必要があります。
まとめ
私が、無借金企業である、藤商事を配当株として「有り」と判断した理由は次の通りです。
売上高、経常利益、当期利益はやや右肩下がりです。
一方で、「とあるシリーズ」の長期的な人気によって、売上の回復につながる可能性もあります。
CFはやや不安定な状況が続いています。
配当方針は、「継続的に年50円配当」と考えています。
配当実績は、過去8年間無配当はなく、継続性が十分にあります。今後も、業績に関わらず年50円が配当されると予測しています。
配当性向は、現状では参考程度に見ておけば良いと考えてます。それ以上に、株主状況の変化には十分に注意しておきましょう。
以上のことから、安定的に高配当が得られると考え、配当狙いポートフォリオに組み入れても問題ないと判断しました。
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