こんにちは。国内株の配当株投資している永松です。
2020.8.10以降、兼松(8020)は配当株として「有り」と判断して、配当狙いポートフォリオに組み入れています。
兼松の業種分類は、卸売業です。1889年に兼松房治郎 氏が創業し、長い歴史を持つ会社です。
電子・デバイス、食料、鉄鋼・素材・プラント、車両・航空を中心とした、幅広い事業を行っています。
「兼松を、配当株として組み入れるか検討中」という方のため、兼松の配当分析をまとめています。
あくまで個人的な見解で、銘柄推奨するものではありません。配当株投資の参考になれば幸いです。
更新履歴
- 2023年3月期の四半期決算チェックを更新しました。[2022.11.20]
四半期決算チェック
兼松の業績推移
2013年3月期~2022年3月期の売上高、営業利益、当期利益は次の通りです。
売上高は、2017.3期を境に大きく減少しました。しかしながら、当期利益は伸ばしています。
2023.3期の業績予想では、売上高は+10.7%の850,000百万円、当期利益は+12.6%の18,000百万円と大幅な上昇が見込まれています。
決算期 | 売上高 | 経常利益 | 当期利益 |
2013/03 | 1,019,232 | 16,705 | 9,564 |
2014/03 | 1,114,539 | 20,160 | 11,799 |
2015/03 | 1,108,230 | 22,373 | 10,546 |
2016/03 | 1,056,230 | 18,122 | 8,959 |
2017/03 | 1,100,254 | 17,875 | 8,049 |
2018/03 | 714,790 | 26,043 | 16,317 |
2019/03 | 723,849 | 29,177 | 16,605 |
2020/03 | 721,802 | 26,944 | 14,399 |
2021/03 | 649,142 | 23,580 | 13,315 |
2022/03 | 767,963 | 28,765 | 15,986 |
※単位:百万円
兼松のキャッシュフロー推移
2013.3期~2022.3期の各キャッシュフロー(CF)は次の通りです。
決算期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | 現金・現金等価物 | フリーCF |
2013/03 | 1,355 | 1,466 | -15,721 | 60,032 | 2,821 |
2014/03 | 22,384 | -1,111 | -9,351 | 73,548 | 21,273 |
2015/03 | 6,758 | -6,649 | -10,046 | 66,485 | 109 |
2016/03 | 33,024 | -4,214 | -6,729 | 87,466 | 28,810 |
2017/03 | 11,852 | -14,691 | -6,904 | 77,566 | -2,839 |
2018/03 | 434 | 1,103 | -842 | 77,731 | 1,537 |
2019/03 | 24,698 | -6,575 | -7,158 | 88,941 | 18,123 |
2020/03 | 24,259 | -10,215 | -11,590 | 91,105 | 14,044 |
2021/03 | 36,984 | -9,927 | -37,497 | 81,045 | 27,057 |
2022/03 | 15,382 | -10,547 | 4,245 | 91,420 | 4,835 |
※単位:百万円
営業CFは、プラスで安定しています。
現金・現金等価物は、安定的に右肩上がりで推移しています。
フリーCFは、2017.3期はマイナスであるものの、その他はプラスを維持しています。
兼松の配当分析
私が分析しているのは、次の3点です。
- 配当方針
- 配当実績と配当成長率
- 配当性向(当期利益、フリーCFベース)
配当株投資の対象には、「配当利回り4.5%以上」を条件に銘柄スクリーニングしています。
兼松の場合、株価1358円(2022.6.10終値)で、配当が予想通り年70円であったと仮定すると、配当利回りは5.15%です。
配当方針
兼松の配当方針は、「中期ビジョン | IR(株主・投資家の皆様へ)|兼松株式会社」によれば、最終年度2024.3期は、総還元性向30%~35%が設定されています。
安定的かつ持続的に配当をするためと記載されています。
配当性向ではなく、総還元性向と記載されているのは、自社株買いも含めての還元を示すためです。
配当実績と配当成長率
配当に関する基本情報は次の通りです。
- 配当回数:年2回
- 配当権利確定日:9.30(中間配当)、3.31(期末配当)
2017.3期~2022.3期の配当実績、及び2023.3期の配当予想は、次の通りでした。
決算期 | 配当金 | 配当成長率 |
2017/03 | 30 | --- |
2018/03 | 48 | 60% |
2019/03 | 60 | 25% |
2020/03 | 60 | 0% |
2021/03 | 60 | 0% |
2022/03 | 65 | 8% |
2023/03(予想) | 70 | 8% |
配当維持の年もありましたが、コンスタントに増配していました。
配当性向(当期利益・フリーCFベース)
配当性向は、当期利益ベースとフリーCFベースの2通りで算出しています。
米国株投資ではフリーCFベースで分析されます。私はこれを日本株にも応用しています。
フリーCFとは、営業CF+投資CFで算出される数値で、簡単に言えば、企業が自由に使える現金です。
フリーCFは、新たな設備投資、借入金の返済、内部留保、そして配当に使われます。そのため、配当株投資では重要な分析対象となりえます。
フリーCFが潤沢にあれば、配当の増額にも期待できます。一方、フリーCFが少ないのに配当を維持していたら、「そろそろ減配が近づいているかもしれない」と事前にリスクを察知できます。
詳しくは、書籍『「年100回配当」投資術ー日本人が知らない秘密の収入源』を読むと配当投資のレベルがグッと上がります。
2017.3期~2021.3期の配当性向を算出すると、次の通りです。
発行済み株数は、84,500,202株(2022.6.10時点)で算出しています。算出した数値は、若干、公式サイトとが異なります。
決算期 | 当期利益ベース | フリーCFベース |
2017/03 | 31% | 非算出 |
2018/03 | 25% | 264% |
2019/03 | 31% | 28% |
2020/03 | 35% | 36% |
2021/03 | 38% | 19% |
2022/03 | 34% | 114% |
2023/03(予想) | 33% | --- |
※数値がマイナスとなるものは、「非算出」と表現しています。
当期利益ベースでは、25%~38%と100%以下で安全圏内でした。
フリーCFベースでは、2017.3期はフリーCFがマイナスなので算出していません。
2018.3期は、100%超と注意水準でしたが、それ以降は、フリーCFの伸びに従い配当性向は下がって、19%~36%と安全圏内でした。
直近2022.3期は、100%超と注意水準となっているため、やや留意が必要です。
現金・現金等価物があるため、配当は継続されると推測しています。
まとめ
私が、兼松を配当株として「有り」と判断した理由は次の通りです。
売上高はやや落ち込むながらも、安定的に推移しています。当期利益は伸ばしています。
営業CFはプラス推移、フリーCFも直近2年では増加しているため、問題ないと考えています。
配当方針は、「総還元性向30%~35%」と安定性を重視しています。
配当実績は、過去7年間、増配又は維持されており、継続性が十分にあります。
2024.3期目標の当期利益200億円に近付けば、増配される可能性もあります。
フリーCFベースの配当性向は低いため、配当の支払いには問題はないと考えています。
以上のことから、安定的な配当に期待し、配当狙いポートフォリオに組み入れても問題ないと判断しました。
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