こんにちは。国内株の配当株投資している永松です。2020.8.8時点、デンカ(4061)は配当株として「有り」と判断して、配当狙いポートフォリオに組み入れています。
デンカの業種分類は、化学です。特殊合成ゴム、機能樹脂、高機能フィルム等を開発・製造しています。1915年創業で、100年以上続いている企業です。
2020年、抗インフルエンザ薬である「アビガン」の原料、マロン酸ジエチルの製造元として注目されていました。
「デンカを、配当株として組み入れるか検討中」という方のため、デンカの配当分析をまとめています。
あくまで個人的な見解で、銘柄推奨するものではありません。配当株投資の参考になれば幸いです。
次の3点をモニタリング又は分析しています。
- 業績推移
- キャッシュフロー推移
- 配当分析
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
更新履歴
- 2021年3月期1Q(4月~6月)の決算資料を反映しました。[2020.8.8]
デンカの業績推移
2013年3月期~2020年3月期の売上高、営業利益、当期利益は次の通りです。
売上高、営業利益、当期利益は、緩やかに右肩上がりで安定しています。
直近の決算資料(2020.8)では、業績予想は開示されています。売上高は-5.5%の360,000(百万円)とされています。営業利益は-1.9%の31,000(百万円)、当期利益は-7.5%の21,000(百万円)が予想されています。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 当期利益 |
2013.3 | 341,645 | 18,817 | 11,255 |
2014.3 | 376,809 | 21,230 | 13,573 |
2015.3 | 383,978 | 24,047 | 19,021 |
2016.3 | 369,853 | 30,634 | 19,472 |
2017.3 | 362,647 | 25,844 | 18,145 |
2018.3 | 395,629 | 33,652 | 23,035 |
2019.3 | 413,128 | 34,228 | 25,046 |
2020.3 | 380,803 | 31,587 | 22,703 |
デンカのキャッシュフロー推移
2013年3月期~2020年3月期の各キャッシュフロー(CF)は次の通りです。
決算期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | 現金・現金等価物 | フリーCF |
2013.3 | 40,215 | -25,864 | -12,784 | 10,680 | 14,351 |
2014.3 | 27,245 | -26,693 | -3,327 | 8,244 | 552 |
2015.3 | 35,557 | -27,449 | -7,437 | 9,157 | 8,108 |
2016.3 | 44,014 | -34,979 | -7,348 | 11,813 | 9,035 |
2017.3 | 39,557 | -22,258 | -19,319 | 10,174 | 17,299 |
2018.3 | 48,776 | -29,298 | -15,858 | 14,101 | 19,478 |
2019.3 | 32,660 | -26,176 | -8,408 | 13,889 | 6,484 |
2020.3 | 41,954 | -36,303 | 9,544 | 29,170 | 5,651 |
営業CFは、プラスで安定的に推移しています。
現金・現金等価物は、年々着実に増加傾向です。
2018年度~2022年度は、2000億円の投融資計画と、投資CFが大きくなっているため、ややフリーCFが減少傾向にあります。
デンカの配当分析
私が分析しているのは、次の3点です。
- 配当方針
- 配当実績と配当成長率
- 配当性向(当期利益、フリーCFベース)
配当株投資の対象には、主に「配当利回り4.5%以上」を条件に銘柄スクリーニングしています。
デンカの場合、株価2750円(2020.8.7終値)で、配当が直近と同じ、年125円であったと仮定すると、配当利回りは4.54%です。
配当方針
デンカの配当方針2018年度~2022年度は、次の2点です。
- 総還元性向50%以上
- 配当を重視
公式サイト「 株主の皆様へ | デンカ株式会社 」に明記されています。
明記されているため、「株主還元もしっかりする(配当を支払う)」という意思表示だと判断しています。
配当性向ではなく、総還元性向と記載されているのは、自社株買いも含めての還元を示すためです。
直近の決算資料(2020.8)では、配当方針の変更は記載されていません。前回、次期の配当が未定でしたが、中間配当(9.30)の予想が60円と開示されました。前年と同じです。
しかしながら、期末配当(12.31)は未定であるため、2020年11月に開示される、2020.7~2020.9の決算短信には注目しておきましょう。
配当実績と配当成長率
配当に関する基本情報は次の通りです。
- 配当回数:年2回
- 配当権利確定日:9.30(中間配当)、3.31(期末配当)
2013.3期~2020.3期の配当実績は、次の通りでした。
配当は段階的に引き上げらていました。特に2018.3期以降、大幅に増配されています。過去8年間は、無配当は一度もなく、継続的に配当が支払われています。
※2015.3期のうち、10円は記念配当です。
直近3年間、2017.3期~2020.3期の配当成長率を算出すると、次の通りです。
決算期 | 配当金 | 配当成長率 |
2017.3 | 70 | --- |
2018.3 | 105 | 50% |
2019.3 | 120 | 14% |
2020.3 | 125 | 4% |
2018.3期は、対前年で35円と33%もアップしました。2019.3期も14%もアップしましたが、2020.3期はやや失速し4%アップにとどまっています。
配当性向(当期利益・フリーCFベース)
配当性向は、当期利益ベースとフリーCFベースの2通りで算出しています。
理由は、「 松井証券は、配当株投資の候補銘柄として有りか無しか? 」で解説しています。
2017.3期~2020.3期の配当性向を算出すると、次の通りです。
発行済み株数は、88,555,840株(2020.3.31時点)で算出しています。算出した数値は、若干、公式サイトとが異なります。
決算期 | 当期利益ベース | フリーCFベース |
2017.3 | 34% | 36% |
2018.3 | 40% | 48% |
2019.3 | 42% | 164% |
2020.3 | 49% | 196% |
当期利益ベースでは、2017.3期~2020.3期すべてで34%~49%と100%以下で、安全圏内でした。
フリーCFベースでは、2017.3期と2018.3期は36%と48%と100%以下で、安全圏内でした。しかしながら、2019.3期と2020.3期は100%を大きく上回り、注意水準にあります。
フリーCFは、配当の原資にもなるので、大幅に超えている状態が継続すると、減配や最悪の場合、配当停止になる可能性があります。
ただし、現金・現金等価物が29,170(百万円)あるので、急な配当停止はなさそうと予想しています。
2021.3期も、フリーCFベースの配当性向に十分に注目しておきましょう。
まとめ
私が、デンカを配当株として「有り」と判断した理由は次の通りです。
売上高、営業利益、当期利益が緩やかに右肩上がりです。
営業CFは、緩やかに右肩上がりです。フリーCFは、直近2年では減少傾向であることには注意が必要です。
配当方針は、「総還元性向50%」と株主還元を十分に考えられています。直近の方針変更もなし。
配当実績は、過去8年間一度も無配当はなく、継続性が十分にあります。ただし、今のところ増配には期待できないと考えています。
2020年3月期のフリーCFベースの配当性向は、196%と要注意です。
次回の決算短信における、期末配当の予想に特に注意が必要です。一時的な減配であれば良いですが、配当停止になれば、私は売却予定です。
現時点では、現金・現金等価物が増加しているので、少なくとも配当は支払われると考えています。
以上のことから、配当維持に期待し、配当狙いポートフォリオに組み入れても問題ないと判断しました。
次回、11月に決算短信が開示されましたら、本ページの配当分析を更新予定です。
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