こんにちは。国内株の配当株投資している永松です。
2020.8.8以降、デンカ(4061)は配当株として「有り」と判断して、配当狙いポートフォリオに組み入れています。
デンカの業種分類は、化学です。特殊合成ゴム、機能樹脂、高機能フィルム等を開発・製造しています。1915年創業で、100年以上続いている企業です。
2020年、抗インフルエンザ薬である「アビガン」の原料、マロン酸ジエチルの製造元として注目されていました。
「デンカを、配当株として組み入れるか検討中」という方のため、デンカの配当分析をまとめています。
あくまで個人的な見解で、銘柄推奨するものではありません。配当株投資の参考になれば幸いです。
更新履歴
- 2023年3月期の四半期決算チェックを更新しました。[2022.11.20]
四半期決算チェック
四半期決算では、配当の状況と、通期の業績予想の当期利益をチェックしましょう。
デンカの業績推移
2013年3月期~2022年3月期の売上高、経常利益、当期利益は次の通りです。
売上高は安定的に推移している一方、当期利益は、緩やかに右肩上がりです。
2023.3期の業績予想では、売上高は+18.2%の455,000百万円、当期利益は+11.5%の29,000百万円と上昇が見込まれています。
決算期 | 売上高 | 経常利益 | 当期利益 |
2013/03 | 341,645 | 17,824 | 11,255 |
2014/03 | 376,809 | 20,604 | 13,573 |
2015/03 | 383,978 | 24,287 | 19,021 |
2016/03 | 369,853 | 27,022 | 19,472 |
2017/03 | 362,647 | 23,158 | 18,145 |
2018/03 | 395,629 | 31,499 | 23,035 |
2019/03 | 413,128 | 32,811 | 25,046 |
2020/03 | 380,803 | 30,034 | 22,703 |
2021/03 | 354,391 | 32,143 | 22,785 |
2022/03 | 384,849 | 36,474 | 26,012 |
※単位:百万円
デンカのキャッシュフロー推移
2013年3月期~2022年3月期の各キャッシュフロー(CF)は次の通りです。
決算期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | 現金・現金等価物 | フリーCF |
2013/03 | 40,215 | -25,864 | -12,784 | 10,680 | 14,351 |
2014/03 | 27,245 | -26,693 | -3,327 | 8,244 | 552 |
2015/03 | 35,557 | -27,449 | -7,437 | 9,157 | 8,108 |
2016/03 | 44,014 | -34,979 | -7,348 | 11,813 | 9,035 |
2017/03 | 39,557 | -22,258 | -19,319 | 10,174 | 17,299 |
2018/03 | 48,776 | -29,298 | -15,858 | 14,101 | 19,478 |
2019/03 | 32,660 | -26,176 | -8,408 | 13,889 | 6,484 |
2020/03 | 41,954 | -36,303 | 9,544 | 29,170 | 5,651 |
2021/03 | 40,610 | -36,976 | -6,706 | 25,909 | 3,634 |
2022/03 | 42,630 | -36,839 | -12,341 | 20,209 | 5,791 |
営業CFは、プラスで安定的に推移しています。
現金・現金等価物は、年々着実に増加傾向です。
2018年度~2022年度は、2000億円の投融資計画と、投資CFが大きくなっているため、ややフリーCFが減少傾向にあります。
デンカの配当分析
私が分析しているのは、次の3点です。
- 配当方針
- 配当実績と配当成長率
- 配当性向(当期利益、フリーCFベース)
配当株投資の対象には、主に「配当利回り4.5%以上」を条件に銘柄スクリーニングしています。
当時、私が購入した段階では、株価2750円(2020.8.7終値)で、配当が年125円でしたので、配当利回りは4.54%でした。
現時点では、株価3315円(2022.6.10終値)で、配当が予想通り年145円であったと仮定すると、配当利回りは4.37%です。
増配になりましたが、株価上昇のため、配当利回りは少し下がっています。
配当方針
デンカの配当方針(2018年度~2022年度)は、「株主の皆様へ | デンカ株式会社」によると、次の2点が挙げられています。
- 総還元性向50%以上
- 配当を重視
明記されているため、「株主還元もしっかりする(配当を支払う)」という意思表示だと判断しています。
配当性向ではなく、総還元性向と記載されているのは、自社株買いも含めての還元を示すためです。
配当実績と配当成長率
配当に関する基本情報は次の通りです。
- 配当回数:年2回
- 配当権利確定日:9.30(中間配当)、3.31(期末配当)
2017.3期~2022.3期の配当実績、及び2023.3期の配当予想は、次の通りでした。
決算期 | 配当金 | 配当成長率 |
2017/03 | 70 | --- |
2018/03 | 105 | 50% |
2019/03 | 120 | 14% |
2020/03 | 125 | 4% |
2021/03 | 125 | 0% |
2022/03 | 145 | 16% |
2023/03(予想) | 145 | 0% |
2018.3期は、対前年で35円と50%もアップしました。以降は、維持の年もありますが、コンスタントに増配されていました。
配当性向(当期利益・フリーCFベース)
配当性向は、当期利益ベースとフリーCFベースの2通りで算出しています。
米国株投資ではフリーCFベースで分析されます。私はこれを日本株にも応用しています。
フリーCFとは、営業CF+投資CFで算出される数値で、簡単に言えば、企業が自由に使える現金です。
フリーCFは、新たな設備投資、借入金の返済、内部留保、そして配当に使われます。そのため、配当株投資では重要な分析対象となりえます。
フリーCFが潤沢にあれば、配当の増額にも期待できます。一方、フリーCFが少ないのに配当を維持していたら、「そろそろ減配が近づいているかもしれない」と事前にリスクを察知できます。
詳しくは、書籍『「年100回配当」投資術ー日本人が知らない秘密の収入源』を読むと配当投資のレベルがグッと上がります。
2017.3期~2021.3期の配当性向を算出すると、次の通りです。
発行済み株数は、88,555,840株(2022.6.10時点)で算出しています。算出した数値は、若干、公式サイトとが異なります。
決算期 | 当期利益ベース | フリーCFベース |
2017/03 | 34% | 36% |
2018/03 | 40% | 48% |
2019/03 | 42% | 164% |
2020/03 | 49% | 196% |
2021/03 | 49% | 305% |
2022/03 | 49% | 222% |
2023/03(予想) | 44% | --- |
当期利益ベースでは、2017.3期~2022.3期すべてで34%~49%と100%以下で、安全圏内でした。
フリーCFベースでは、2017.3期と2018.3期は36%と48%と100%以下で、安全圏内でした。しかしながら、2019.3期~2022.3期は100%を大きく上回り、注意水準にありました。
フリーCFは、配当の原資にもなるので、大幅に超えている状態が継続すると、減配や最悪の場合、配当停止になる可能性があります。
ただし、現金・現金等価物が20,209百万円あるので、急な配当停止はなさそうと予想しています。
2022.3期も、フリーCFベースの配当性向に十分に注目しておきましょう。
まとめ
私が、デンカを配当株として「有り」と判断した理由は次の通りです。
売上高、営業利益、当期利益が緩やかに右肩上がりです。
営業CFは、緩やかに右肩上がりです。フリーCFは、直近2年では減少傾向であることには注意が必要です。
配当方針は、「総還元性向50%」と株主還元を十分に考えられています。
配当実績は、過去8年間一度も無配当はなく、継続性が十分にあります。
フリーCFベースの配当性向は、100%超と要注意です。
現時点では、現金・現金等価物が増加しているので、少なくとも配当は支払われると考えています。
以上のことから、配当維持に期待し、配当狙いポートフォリオに組み入れても問題ないと判断しました。
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