こんにちは。国内株の配当株投資している永松です。2020.11.20時点、アサヒホールディングス(5857)は配当株として「有り」と判断して、配当狙いポートフォリオに組み入れています。
アサヒHDの業種分類は、非鉄金属です。主力事業は、金やプラチナなど「貴金属リサイクル」(売上高の約83%)と、「産業廃棄物処理」(約15%)です。
貴金属リサイクルでは、使用済み電子基板、古くなった精密洗浄装置の部品、自動車の触媒、歯科廃材等から、貴金属を回収し、金の延べ棒などに加工し販売しています。
産業廃棄物処理では、廃油、廃木材、廃試薬等を環境配慮した処理をしています。
2020年、安全資産として「金」が注目され、価格が高騰しています。 金の産出量には限りがあるため、需要と供給のバランスによって、価格が大きく変動します。
昨今では、富裕層だけでなく、各国の銀行も金を保有する傾向があるため、その金を提供できる点でアサヒHDに注目しています。
また、2015年に国連で採択された、SDGsと呼ばれる「持続可能な開発目標」にも、積極的に取り組んでいる点にも将来性を感じています。
「アサヒHDを、配当株として組み入れるか検討中」という方のため、アサヒHDの配当分析をまとめています。
あくまで個人的な見解で、銘柄推奨するものではありません。配当株投資の参考になれば幸いです。
次の3点をモニタリング又は分析しています。
- 業績推移
- キャッシュフロー推移
- 配当分析
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
更新履歴
- 2021年3月期2Q(7月~9月)の決算資料を反映しました。[2020.11.20]
アサヒHDの業績推移
2013年3月期~2020年3月期の売上高、営業利益、当期利益は次の通りです。
売上高は、2017.3期は若干減少したものの、緩やかに右肩上がりです。
営業利益、当期利益も同様に緩やかに右肩上がりです。
直近の決算資料(2020.10)では、業績予想が開示されており、前回から変更はありません。
売上高は+21.7%の165,000(百万円)とされています。営業利益は+16.6%の21,000(百万円)、当期利益は+42.2%の14,000(百万円)が予想されています。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 当期利益 |
2013.3 | 96,368 | 7,495 | 4,518 |
2014.3 | 94,254 | 9,629 | 5,969 |
2015.3 | 111,417 | 10,480 | 5,774 |
2016.3 | 119,352 | 6,057 | 2,867 |
2017.3 | 106,828 | 2,038 | -1,213 |
2018.3 | 115,797 | 13,791 | 9,416 |
2019.3 | 128,669 | 14,478 | 9,000 |
2020.3 | 135,563 | 20,119 | 9,846 |
アサヒHDのキャッシュフロー推移
2013年3月期~2020年3月期の各キャッシュフロー(CF)は次の通りです。
決算期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | 現金・現金等価物 | フリーCF |
2013.3 | -419 | -2,064 | 2,603 | 4,141 | -2,483 |
2014.3 | 14,045 | -1,090 | -8,008 | 9,470 | 12,955 |
2015.3 | 9,419 | -29,633 | 21,442 | 10,841 | -20,214 |
2016.3 | 14,321 | -1,936 | -6,473 | 16,564 | 12,385 |
2017.3 | 3,319 | -2,442 | -6,630 | 10,798 | 877 |
2018.3 | -13,397 | -2,829 | 29,776 | 24,140 | -16,226 |
2019.3 | -20,648 | -5,629 | 18,261 | 16,297 | -26,277 |
2020.3 | -60,318 | 1,927 | 65,165 | 22,908 | -58,391 |
営業CFは、上下を繰り返しています。
2020.3期は、-60,318(百万円)と大幅にマイナスです。決算資料(p.9)でも記載されている通り、原因は「棚卸資産と営業債権の増加」です。
棚卸資産は、貴金属リサイクルの原料です。品質劣化リスク、価格変動リスクがありません。
営業債権は、北米で実施されているメタル事業の債権(568億円分)です。こちらも価格変動リスク、貸し倒れリスクが極めて低いとされています。
これらの安全資産を除いた営業キャッシュフローはプラスとなっています。
現金・現金等価物は、年々着実に増加傾向です。
フリーCFも、営業CFと同様に上下を繰り返しています。
アサヒHDの配当分析
私が分析しているのは、次の3点です。
- 配当方針
- 配当実績と配当成長率
- 配当性向(当期利益、フリーCFベース)
配当株投資の対象には、「配当利回り4.5%以上」を条件に銘柄スクリーニングしています。
アサヒHDの場合、株価3300円(2020.11.20終値)で、配当が予想通り年160円であったと仮定すると、配当利回りは4.85%です。
配当方針
アサヒHDの配当方針は、配当性向50%以上です。公式サイト「配当情報 | アサヒホールディングス」に明記されています。
明記されているため、「株主還元もしっかりする(配当を支払う)」という意思表示だと判断しています。
直近の決算資料(2020.10)では、配当方針の変更は記載されていません。また、2021.3期では、30円増配の160円が予想されています。
配当実績と配当成長率
配当に関する基本情報は次の通りです。
- 配当回数:年2回
- 配当権利確定日:9.30(中間配当)、3.31(期末配当)
2013.3期~2020.3期の配当実績は、次の通りでした。2021.3期は、予定配当です。
2013.3期~2018.3期はほぼ横ばいでした。2019.3期以降、大幅に増配されています。過去8年間は、無配当は一度もなく、継続的に配当が支払われています。
直近3年間、2017.3期~2020.3期と2021.3期の配当成長率を算出すると、次の通りです。
決算期 | 配当金 | 配当成長率 |
2017.3 | 60 | --- |
2018.3 | 63 | 5% |
2019.3 | 120 | 90% |
2020.3 | 130 | 8% |
2021.3(予定) | 160 | 23% |
2019.3期は、対前年で+57円と90%もアップしました。それ以降も8%アップとコンスタントに増配されていて、申し分ないです。
配当性向(当期利益・フリーCFベース)
配当性向は、当期利益ベースとフリーCFベースの2通りで算出しています。
理由は、「松井証券は、配当株投資の候補銘柄として有りか無しか?」で解説しています。
2017.3期~2020.3期の配当性向を算出すると、次の通りです。
発行済み株数は、39,854,344株(2020.3.31時点)で算出しています。算出した数値は、若干、公式サイトとが異なります。
決算期 | 当期利益ベース | フリーCFベース |
2017.3 | -197% | 273% |
2018.3 | 27% | -15% |
2019.3 | 53% | -18% |
2020.3 | 53% | -9% |
2019.3期以降、配当方針が「配当性向50%以上」となったため、当期利益ベースの配当性向は53%と有言実行されていました。100%以下で安全圏内でした。
アサヒHDでは、安全資産の一部が営業CFに計上され、数値がマイナスであるため、フリーCFベースの配当性向もマイナスとなって、分析できません。
決算資料(2020.3)において、配当引当金が4,714(百万円)でしたが、それを差し引いても、現金・現金等価物が前年と比べ、6,610(百万円)増加しているので、大きく減配される可能性は低いと推定しています。
アサヒHDでは、北米事業に投資している間、フリーCFベースが分析できないため、現金・現金等価物の推移も見ておく必要があります。
まとめ
私が、アサヒホールディングスを配当株として「有り」と判断した理由は次の通りです。
売上高、営業利益、当期利益はきれいな右肩上がりで、今後の上昇が予想されています。
営業CF、フリーCFは、マイナスとなっていますが、現時点では内訳が安全資産分であるため、問題ないと考えています。
配当方針は、「配当性向50%以上」と株主還元を十分に考えられています。直近の方針変更もなし。
配当実績は、過去8年間一度も無配当はなく、継続性が十分にあります。また、増配にも十分に期待しています。
フリーCFベースの配当性向は分析できませんが、現時点では、現金・現金等価物を着実に増加させているため、配当の支払いには問題はないと考えています。
以上のことから、増配、配当利回りの上昇に期待し、配当狙いポートフォリオに組み入れても問題ないと判断しました。
次回、1月に決算短信が開示されましたら、本ページの配当分析を更新予定です。
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