こんにちは。昨今、ロボアドバイザーが資産運用の一つのツールとして利用されるようになりました。
LINE ワンコイン投資は、2019年4月から提供開始された、500円から投資できるロボアドバイザーです。
一方、FOLIO おまかせ投資は、2018年11月から提供開始されたロボアドバイザーです。
ご存知ない方も多いですが、両者とも、運営会社は株式会社FOLIOです。
そのため、LINE ワンコイン投資とFOLIO おまかせ投資を両方買うことはできません。
[2020.11.4時点]
すでに、あなたがどちらかを購入しており、もう片方に変更するには、一度解約する必要があります。
「まだ、どちらか決めていない」というなら、どちらを選択するかは十分に検討すべきです。
どちらがあなたに適しているかの判断する参考に、ワンコイン投資とおまかせ投資の重要なポイントを比較します。
結論から述べれば、次の通りです。
- とにもかくにも、ロボアドバイザーを使ってみたい:LINE ワンコイン投資
- リスク許容度を自分で選びたい、ある程度ポートフォリオを固定したい:FOLIO おまかせ投資
ワンコイン投資とおまかせ投資はどこが違うのか?
投資対象はどちらもETF
ワンコイン投資もおまかせ投資も、全世界のETF(上場投資信託)に分散投資しています。
両者とも、次の8資産のETFで同じです。
- 米国株
- 日欧株
- 新興国株
- 米国債券
- 新興国債券
- ハイイールド債券
- 金
- 不動産
ワンコイン投資とおまかせ投資の各ETFの銘柄選定には、次の3つのことが重視されています。
- 資産規模が大きい
- 流動性が高い
- 低コスト
資産規模が小さいと、償還リスク(上場廃止)が高くなります。そのリスクを低減するため資産規模が十分大きいものが選定されています。
また、流動性が低いと、売買数量に対して、売買が成立しなかったり、取引価格が不利な方向に動く場合があります。
そのため、リバランス時や急に資産の現金化が必要な時に、狙ったタイミング・価格での取引ができるように、流動性の高い銘柄が選定されています。
ETFには諸経費がかかります。同一資産規模、同一程度の流動性であれば、低コストであればあるほど、良いです。それを考慮して選定されています。
投資方針は同じ、違いはプランが選べるか否か
両者の投資方針は同じです。
次のような流れでポートフォリオが決定されます。
1990年にノーベル賞を受賞したハリー・マーコヴィッツ氏が礎を築いた現代ポートフォリオ理論に基づいた、平均分散法を用いています。
平均分散法では、各資産クラスの「期待リターン」と「リスク」、資産クラス間の「相関」を用いて、最適なポートフォリオを算出されます。
このプロセスで必要な、期待リターンの推定にはBlack-Littermanモデル、リスクの推定には各資産クラスの過去リターンが主に用いられています。
ワンコイン投資は、1プランのみで、投資初心者向けに比較的リスクを抑えたポートフォリオが設定されています。
一方、おまかせ投資は、5プランあり、あなたのリスク許容度に応じて、ポートフォリオを選択できます。
リスク許容度はわかりやすくキャラクターで表現されています。
[出典:FOLIO]
- ピーター:安定運用(リスク許容度1)
- ローレンス:堅実運用(2)
- エリー:バランス運用(3)
- ジェームス:積極運用(4)
- マーカス:チャレンジ運用(5)
ワンコイン投資とおまかせ投資のリスク許容度別のポートフォリオを次の通りです。[2020.11.4時点]
おまかせ投資は、リスク許容度(1)→(5)にかけて、株式(青)の比率が高くなり、かつ債券(オレンジ)の比率が低くなります。
ワンコイン投資は、リスク許容度(2)に近いポートフォリオになっています。
ワンコイン投資は1プランで選択できない、おまかせ投資は5プランから選択できるという違いは、十分に理解しておきましょう。
初期投資額に大きな差がある!
両者の初期投資額には、大きな差があります。
- ワンコイン投資:500円
- おまかせ投資:10万円
ワンコイン投資は、その名の通り、500円からと手軽に投資を始められます。週500円~10万円で積立投資できます。1回だけ投資して、積立を停止することもできます。
一方、おまかせ投資は、10万円からの投資です。投資をやったことがない方は、「やや金額が大きい」と思うかもしれません。
こちらには、積立機能はありませんが、1万円1円単位で好きな時に追加購入が可能です。
ワンコイン投資とおまかせ投資のリターンとリスクを比較
「両者のリターンとリスクがどれくらいか」も当然気になりますよね。
ただ、残念ながら、ワンコイン投資のデータは、公式サイトでは公開されていません。
参考として、私のワンコイン投資のリターン推移(2020.1.7~11.4)を下記に記載しました。
データには記載していませんが、2019.10.29から積立投資して利用しています。
リターンは、2020年2月中旬に、+7.11%まで上昇しました。しかし、2020年3月中旬には、コロナショックの影響で、-14.48%まで下落しました。
それ以降は、回復し、直近では+3%~+6%くらいで推移しています。
一方、おまかせ投資は、毎月リスク許容度別のリターンデータが開示されています。[2020.9末時点]
こちらは、積立投資ではなく、サービス開始時に100万円一括投資した場合の推移です。
リスク許容度 | 過去1ヶ月 | 過去3ヶ月 | 過去6ヶ月 | 過去1年 | 年率換算 | 標準偏差 |
1 | -2.20% | 1.09% | 10.60% | 3.63% | 4.52% | 9.63% |
2 | -1.98% | 1.33% | 11.54% | 3.04% | 3.87% | 11.48% |
3 | -2.52% | 2.71% | 16.30% | 4.64% | 4.55% | 14.25% |
4 | -2.87% | 3.67% | 19.85% | 5.79% | 5.03% | 16.57% |
5 | -2.93% | 4.36% | 22.11% | 5.50% | 4.35% | 18.41% |
※公式サイトより引用。
全てのリスク許容度において、ワンコイン投資と同じように、2020年2月中旬までは、右肩上がりで上昇していました。
2020年3月中旬にかけて、コロナショックの影響で大幅に下落しました。
それ以降は、コロナショック前の水準近くまで回復しています。
過去1年リターンは、リスク許容度(2)<(1)<(3)<(5)<(4)の順に大きかったです。
本来であれば、リスクが1→5の順に上がれば、リターンが大きくなります。
2020年のコロナショックでは、イレギュラーなことが起きました。通常、株式が下落すると、債券は上昇するのですが、今回は、「金」以外の資産がすべて下落するという現象が起きました。
リスク許容度(1)[金比率:24.37%]のリターンが(2)[10.97%]を上回ったこと、リスク許容度(4)[15.81%]のリターンが(5)[11.86%]を上回ったことは、金の比率の高さが影響していると思われます。
2020年5月以降は、通常のパターンに戻りつつあります。
過去6ヶ月リターンでは、リスク許容度(1)→(5)の順に、10.60%~22.11%とリターンが大きくなっているのがわかるかと思います。
両者のリスクについても、見ておきましょう。
投資のリスクは、一般に標準偏差(リターンのばらつき)で評価されます。
おまかせ投資は、9.63%~18.41%でした。リスク許容度が上がるに従い、リスクが高くなります。
一方、ワンコイン投資は、リスク許容度(2)とほぼ同程度と考えておいて問題ないでしょう。
このように、おまかせ投資は、リスク許容度(1)→(5)に応じて、想定リスクと想定リターンをあなたが選択できます。
一方、ワンコイン投資は、リスク許容度(2)に近いの想定リスクと想定リターンです。
ワンコイン投資とおまかせ投資の手数料は?
両者とも手数料は、年率1.0%(税抜)です。
ただし、預かり資産が3000万円を超える部分は、0.5%(税抜)となります。これほど、投資する方は少ないかもしれませんが。
どちらを選択しても変わりません。
まとめ
両者の投資対象はETFで、資産の種類も同じです。
両者は投資方針は同じですが、おまかせ投資は、リスク許容度(1)~(5)の5プランのポートフォリオから選択できます。
一方、ワンコイン投資は、1プランで、おまかせ投資のリスク許容度(2)に近いポートフォリオのみです。
大きな違いは、初期投資額でワンコイン投資は500円~、一方、おまかせ投資は10万円~投資できます。
期待リターンと想定リスクは、おまかせ投資ではリスク許容度に応じて変化します。一方、ワンコイン投資は、おまかせ投資のリスク許容度(2)に近いでしょう。
手数料は1.0%(税抜)で同じです。
以上を踏まえて、次のような希望に合わせて、あなたの最適な方を選んでみてはいかがでしょうか。
両者の特徴を公式サイトで確認したり、最新ポートフォリオを確認して、あなたの好みを見つけてみましょう。
公式サイトFOLIOからログイン後、メニュー画面でおまかせ投資を選択すると確認できます。
参考になれば、幸いです。
最後に、2020年1月にFOLIOから新しく、AIを搭載した「FOLIO ROBO PRO」というロボアドバイザーが提供開始されました。
こちらも、2020.11.5時点、おまかせ投資かROBO PROかどちらか一方しか選択できません。もし、あなたがROBO PROも一つの候補と考えるなら、「どちらを選ぶべき?FOLIO おまかせ投資とROBO PRO(ロボプロ)」も併せて参考にしてください。
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