【良書】「投資なんか、おやめなさい」は投資する人にもオススメ!|荻原さんの新刊本・レビュー



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こんにちは。荻原博子さんをご存知でしょうか。経済ジャーナリストとして活躍されており、私たち一般人の家計視点でわかりやすく経済を解説されています。

最近では、セゾン投信・中野さんとの「投資する or 投資しない」の対談が話題となりました。

その元となった書籍「投資なんか、おやめなさい」と読みましたのでレビューします。

 

 

読む前の先入観 

「投資なんか、おやめなさい」というタイトルを見て、どんなことが思い浮かびますか?

私が真っ先に思い浮かんだのは、「投資を否定する本では?」でした。投資信託による資産形成を教えている身からすると、耳が痛い話が多いのかなと思っていました。しかし、読んでみると、ちょっと違いました。もちろん、否定していた部分ありましたが、本書では、投資(保険も含む)で騙されないためのポイントが書かれていました。

先に結論を言うと、「投資している人にもオススメ」です。特に「保険の仕組みの真実」を知りたい方は一読すべきです。

 

本書は、金融商品を売る側の視点が見える!

本書の一番重要なポイントは、金融商品(保険も含む)の売る側の視点を理解できるところです。

金融商品を売る側は、当然ビジネスをしています。ビジネスである以上、会社として利益を出さなければなりません。騙そうとしている訳でないと思いますが、利益を上げやすい商品を紹介される場合があります。

金融商品は、うまく使えばデメリットよりメリットが大きくなりますが、間違った知識や判断をしてしまうと、デメリットでしかないです。ですので、これからは自身で最低限の知識をつけていくことが大切です。

 

本書は5章からなっています。

第1章「あなたは、騙されていませんか?」では、生命保険の真実が語られています。特に外貨建て生命保険が要注意と言われています。

「円では利息が付かないから、外貨(例えばドル)で運用すれば利回りが良いですよ」と謳う商品。簡単いうと、解約時に円安(1ドル100円→120円など)になれば手取りが増えるというもの。しかし、円高なら手取りが減ります。

でも、将来円安になるか、円高になるか、その時に保障を偶然受ける状態になるのかわかりませんよね。

日本人は、保険が大好きです。一度頭をまっさらにして、この章で保険の必要性や選び方について、再認識すると良いですよ。

 

第2章「日銀のマイナス金利が、家計の資産を破壊する」では、日銀の異次元の金融緩和や、マイナス金利政策の意図について、わかりやすく解説されています。

マイナス金利について簡単に解説します。銀行に預金すると私たちは年〇%、例えば年0.1%の利息をもらえます。

銀行は、そのお金を企業に貸し付ける、もしくは日本銀行(銀行の銀行)に預けるという選択肢があります。

これまで日本銀行にお金を預けると、年1%の利息をもらえました。つまり、銀行は私たちの預金を、日本銀行に預けるだけで差分の0.9%(1%-0.1%)も利益になりました。

国の政策として、お金を回して経済成長させたい思っているのに、銀行が日本銀行にお金を入れていては、企業にお金が回りません。

そこで、日本銀行は預金金利をマイナスにしたんです。極端に例を挙げると、年-1%。そうすると、銀行は日本銀行に預けると逆に手数料を取られることになり、損をします。

そのため、企業や別の投資先に投資せざるを得なくなり、経済が強制的に回せるのではと目論んでいました。うまくいってないようですが。

現状では、私たちに直接マイナス金利の影響が及んではいません。しかし、ATM手数料が必ずかかるようになったり、銀行の経営が悪くなってくると口座管理手数料をとってくるかもしれません。

 

第3章「こんなクズ商品には手を出すな」では、こんな損しやすい商品とその理由がまとめられています。

例えば、毎月分配型の投資信託、定期預金のセット販売、個人向け国債、外貨預金、純金積立、投信積立、マンション投資などです。

各商品のどこがダメなのかについて詳しくまとめられています。ただし、個人的に同意できるものと、補足説明が必要なものがあります。特に、投信積立は有効だと考えているので、次の項で補足していきます。

 

第4章「なぜ個人年金はダメか」では、個人年金保険のデメリットについてまとめられています。

公的年金はいずれダメだという謳い文句で、個人年金保険への加入勧誘があるかもしれません。そのデメリットについて、詳しくまとめられているので十分に読んでおきたい章です。

一部、確定拠出年金についても触れられています。こちらは一般的な内容だけ書かれていました。

 

第5章「投資の常識を疑おう」では、投資で損をしない心構えがまとめられています。

投資をしていれば、老後は安心なのか?、デフレ時の預金のメリット、投資に向かない人チェックリストなどがあります。

確かに、投資をしたからと言ってお金が100%増えるわけではないですし、だからといって老後が確実に安心とは限りません。しかしながら、個人的には20代~40代は、何が起こるかわからないからこそ、投資の勉強をすべきと考えています。

また、チェックリストも納得というものと、そうでないものがありますので、参考程度が良いと思います。

 

最終結論としては、「投資しなくてはという呪縛にとらわれてほしくない」と綴られています。

投資をする・しないは個人の自由です。しかし、「周りがやっているからやる」とか、「絶対損するから」と決めつけるのではなく、まずは本書などで正しく理解することから始めてみてはいかがでしょうか。

ご興味があれば、書籍を覗いて見てください。

投資なんか、おやめなさい (新潮新書)

 

 

投資を否定している部分についての個人的見解

私なんかがおこがましいですが、一部個人的な見解を述べます。

「ドルコスト平均法」は愚の骨頂

出典:本書目次より

 

ドルコスト平均法とは、一般的に「毎月一定額ずつ投資信託を購入すれば、高いときには少しの口数、安いときには多くの口数を買えるので、価格が平均化されてリスクが減る」という手法です。

この部分に、荻原さんのメスが入っています。安いときに買って、高いときに売るから儲かると。当然その通りです。

しかし、ドルコスト平均法の一番のメリットは、「明日株価(投資信託)が上がるかどうか気にしなくて良いので、精神的な苦痛が減る」と考えています。毎月底値がどうかって判断できますか?その時に一括投資できますか?できるなら、それでも良いです。

多くの方が働いて、そこまでじっくり株価を見る余力はないのではないでしょうか。私はそうです。そうであれば、積立投資の方が良くないですか。

 

また、一括投資する資金がない場合も考えられます。つみたてNISAは年40万円です。裏技的に一括投資することもできます。

【上級者向け】つみたてNISAで一括投資(一括購入)する方法を楽天証券とSBI証券で解説!

ほとんどの方が、一括で数十万円を出すのは難しいと思います。でも月1万円くらいは捻出できるかと。となると必然的に積立投資することになると思います。

 

金融機関が勧める「長期投資」の幻想

投資と「コツコツ」は矛盾した概念

出典:本書目次より

 

ここでは「投資信託では長期投資にならない」と書かれています。長期投資とはバフェットのような投資だと言われています。

金融庁や、セゾン投信・中野さんが言っている長期投資とは、ちょっと概念が違います。こちらはわかりやすく言うと、「長期的に資産形成しましょう」です。

投資信託で一気にリターンを得ることは難しいので、積立で元本を大きくしつつ、複利効果的に資産を大きくしていくことは可能であると思います。

本書に限らずですが、著者の取扱っている定義と、他者の定義が異なる場合があるので注意が必要です。

さいごに、投資するかどうかは個人の自由です。でもまずは知ってみてください。