こんにちは。NISA SCHOOLの永松です。NISAでは、全世界株オールカントリーインデックスファンドや、米国株S&P500インデックスファンドへの投資が人気ですよね。
また、米国の高配当株ファンドも人気になりつつあります。
2024年には、予想配当利回りが高い、シュワブ米国配当株式ETF(SCHD)*に連動する、楽天証券限定の「楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)」やSBI証券限定の「SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)」が登場し人気になりつつあります。
*米国の配当利回りの高い100銘柄で構成される指数である、「ダウ・ジョーンズUSディビデンド100インデックス」への連動を目指すファンド
これらのファンドは、年4回決算があり、基本的には年4回分配金が支払われます。当然、NISAで投資している場合、その分配金は非課税です。
ただ、これらのように分配金のあるファンドで注意すべきは、『分配金を「受取型」ではなく「再投資型」に設定して、複利効果で増やしたい』と考えている場合です。
さらに、注意すべきは、これらのファンドに年初一括投資で投資している場合です。
それは、NISA口座の残り枠の状況によって、分配金の再投資の仕方が変わるためです。
本記事では、分配金のある投資信託の再投資がどのように行われるのか、また主要証券会社の対応を解説します。
NISAで分配金のある投資信託の再投資はどのように行われるのか?
結論から述べれば、以下の通りです。
- NISA口座の残り枠がある場合:NISA口座で再投資される
- NISA口座の残り枠がない場合:課税口座で再投資される
具体的な事例で説明しましょう。
年4回(3月・6月・9月・12月)分配金のある投資信託A(基準価額10,000円/1万口)に、2025年1月に50万円(50万口)、NISA成長投資枠で「再投資型」で投資したとしましょう。
NISA成長投資枠は1年で240万円までですので、この時点で、この年の残り枠は190万円です。
3月に、1万口あたり300円の分配金がされたとします。
あなたは50万口保有しているので、300円×50万口/1万口=15,000円の分配金を非課税で受け取れます。
残り枠が190万円あり、「再投資型」に設定しているので、15,000円分がNISA成長投資枠で再投資されます。
一方、年4回(3月・6月・9月・12月)分配金のある投資信託A(基準価額10,000円/1万口)に、2025年1月に240万円(240万口)、NISA成長投資枠で「再投資型」で投資したとしましょう。
NISA成長投資枠は1年で240万円までですので、この時点で、この年の残り枠は0円です。
3月に、1万口あたり300円の分配金がされたとします。
あなたは50万口保有しているので、300円×50万口/1万口=15,000円の分配金を非課税で受け取れます。
残り枠が0円ですが、「再投資型」に設定しているので、15,000円分はNISA成長投資枠で再投資されず、課税口座で再投資されます。
課税口座で再投資された15,000円分に、6月に分配金がされた場合、この分配金には課税されることになります。
また、「見た目上、リターンがマイナス表示になり、嫌だな」という事例も起こりえます。
例えば、分配金がされると、基準価額がその分下がります。
先ほどの3月に300円分配時、基準価額が購入時と同じ10,000円だったとします。
分配後、基準価額は9,700円になります。
すなわち、NISA口座でのファンド一覧表示では、購入取得単価10,000円に対して、現時点の基準価額が9,700円なので、「表示上は-3%」になります。
ただし、分配金300円を受け取っているので、その時点におけるリターンは±0円です。
仮に6月にも300円分配され、その時点の基準価額が3月分配時と同じ9,700円だったとします。
分配後、基準価額は9,400円になるため、「表示上は-6%」とマイナスが大きくなって見えます。
基準価額が上昇していて、その上昇率未満の分配率であれば、表示上はプラスになります。
ただし、NISA口座でのその年における投資元本はどんどん減っていくことになります。
これが、分配金型のファンドのデメリットになりえます。
「基準価額や投資元本が小さくなる、見た目上マイナス表示となりえる」ということを気にしない方であれば、問題ないです。
「それは嫌だな」と思うのであれば、分配金を支払わない(ファンド内で自動的に再投資する)ファンドを選択すべきでしょう。
例えば、米国の高配当株で言えば、「楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・VYM)」などです。
NISA口座で分配金のある投資信託に満額一括投資する場合は、これらのことを十分認識しておきましょう。
上記は、NISA成長投資枠の例ですが、NISAつみたて投資枠の場合は以下の通りです。
- NISAつみたて投資枠の残り枠がある場合:つみたて投資枠で再投資される
- NISAつみたて投資枠の残り枠がない場合で、成長投資枠の残り枠がある場合:成長投資枠で再投資される
- NISAつみたて投資枠、成長投資枠の共に残り枠がない場合:課税口座で再投資される
NISAにおける主要証券会社の投資信託の再投資の対応は?
全社対応は同じです。
auカブコム証券を利用する場合
auカブコム証券では、Q&Aの「新NISA口座(つみたて投資枠)で積立を設定しています。つみたて投資枠の120万円を超える分配金の再投資および積立の発注がされる場合、どうなりますか。」で先述した説明が解説されています。
SBI証券を利用する場合
SBI証券では、「NISA預り 投信分配金の再投資方法」で先述した説明が解説されています。
マネックス証券を利用する場合
マネックス証券では、FAQ「NISA口座の分配金再投資コースで購入した投資信託の分配金が生じた場合、再投資買付は行われますか?」で先述した説明が解説されています。
楽天証券を利用する場合
楽天証券では、「NISA口座で保有している再投資型の投資信託で分配金が発生した場合、NISA口座で再投資されますか?」で先述した説明が解説されています。
まとめ
NISA口座で、分配金のある投資信託の再投資は以下のようにされます。
つみたて投資枠の場合
- NISAつみたて投資枠の残り枠がある場合:つみたて投資枠で再投資される
- NISAつみたて投資枠の残り枠がない場合で、成長投資枠の残り枠がある場合:成長投資枠で再投資される
- NISAつみたて投資枠、成長投資枠の共に残り枠がない場合:課税口座で再投資される
成長投資枠の場合
- NISA成長投資枠の残り枠がある場合:成長投資枠で再投資される
- NISA成長投資枠の残り枠がない場合:課税口座で再投資される
これらのファンドに投資する際の参考になれば、幸いです。