こんにちは。国内株の配当株投資している永松です。2020.7.12時点、松井証券(8628)は配当株として「有り」と判断して、配当狙いポートフォリオに組み入れていました。
2020.7.27に開示された直近の決算資料で、「配当予想が未定」であったため、一旦売却し、ポートフォリオから除外しました。
松井証券の業種分類は、証券業です。ネット証券の大手で、株主優待で有名な「桐谷さん」も使っている会社です。
株取引の先進サービス開発に定評があります。2016年から投資信託事業も展開しています。
2020年4月には、投信毎月現金還元サービス(信託報酬が安くなる!松井証券・投信毎月現金還元サービスの活用方法)が始まり、投信分野において、他社ユーザーが松井証券への乗換も起きてくると推定しています。
「松井証券を、配当株として組み入れるか検討中」という方のため、松井証券の配当分析をまとめています。
あくまで個人的な見解で、銘柄推奨するものではありません。配当株投資の参考になれば幸いです。
次の3点をモニタリング又は分析しています。
- 業績推移
- キャッシュフロー推移
- 配当分析
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
更新履歴
- 2021年期1Q(4月~6月)の決算資料を反映しました。[2020.7.28]
松井証券の業績推移
2013年3月期~2020年3月期の売上、営業利益、当期利益は次の通りです。
直近では2014年3月期を最高に、やや減少傾向です。
直近の決算資料(2020.7)では、業績予想は開示されていません。
1Qの業績は、売上高7,164(百万円)で、対前年同時期+28.9%、四半期利益2,108(百万円)で+53.4%と大幅に上昇していました。
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 当期利益 |
2013.3 | 20,799 | 10,195 | 6,427 |
2014.3 | 39,883 | 27,090 | 16,300 |
2015.3 | 34,306 | 22,087 | 15,571 |
2016.3 | 34,435 | 21,745 | 14,763 |
2017.3 | 27,727 | 14,939 | 10,697 |
2018.3 | 32,210 | 18,532 | 12,908 |
2019.3 | 27,313 | 13,451 | 9,562 |
2020.3 | 24,150 | 8,909 | 6,136 |
松井証券のキャッシュフロー推移
2013年3月期~2020年3月期の各キャッシュフロー(CF)は次の通りです。
決算期 | 営業CF | 投資CF | 財務CF | 現金・現金等価物 | フリーCF |
2013.3 | -74,775 | -791 | 77,102 | 26,624 | -75,566 |
2014.3 | -18,060 | -1,142 | 25,910 | 33,333 | -19,202 |
2015.3 | 21,871 | 2,068 | -21,867 | 35,406 | 23,939 |
2016.3 | 43,431 | -824 | -48,147 | 29,865 | 42,607 |
2017.3 | 11,510 | -2,014 | -10,269 | 29,093 | 9,496 |
2018.3 | -39,665 | -2,067 | 51,908 | 39,269 | -41,732 |
2019.3 | 103,499 | -2,011 | -101,650 | 39,108 | 101,488 |
2020.3 | 60,195 | -2,749 | -41,209 | 55,345 | 57,446 |
営業CFは、上下を繰り返しています。2013年、2014年、2018年はマイナスでしたが、それ以外はプラスで推移しています。
現金・現金等価物は、年々着実に増加傾向です。
フリーCFも、営業CFと同様に上下を繰り返しています。
松井証券の配当分析
私が分析しているのは、次の3点です。
- 配当方針
- 配当実績と配当成長率
- 配当性向(当期利益、フリーCFベース)
配当株投資の対象には、「配当利回り4%以上」を条件に銘柄スクリーニングしています。
松井証券の場合、株価883円(2020.7.28終値)で、配当が直近と同じ、年45円であったと仮定すると、配当利回りは5.09%です。
配当方針
松井証券の配当方針は、次の2点です。
- 配当性向:60%以上 かつ
- 株主資本配当率(DOE):8%以上
公式サイト「 配当・株主還元 | 会社案内・IR情報 | 松井証券 」に明記されています。
明記されているため、「株主還元もしっかりする(配当を支払う)」という意思表示だと判断しています。
一般に配当指標には、当期利益をベースにした配当性向が使われます。
当期利益の変動幅が大きいため、株主還元の状況を見るために、株主資本をベースとしたDOEを使う企業も増えています。
今のところ、私はDOEは分析対象とはしていません。
直近の決算資料(2020.7)では、配当方針の変更は記載されていません。しかしながら、次期の配当は未定のままでした。
配当実績と配当成長率
配当に関する基本情報は次の通りです。
- 配当回数:年2回
- 配当権利確定日:9.30(中間配当)、3.31(期末配当)
2013.3期~2020.3期の配当実績は、次の通りでした。
2014.3期以降、中間配当と期末配当の2回になりました。過去8年間は、無配当は一度もなく、継続的に配当が支払われています。
2019.3期は特別配当が39円支払われ、年合計84円の配当が支払われました。
直近3年間、2017.3期~2020.3期の配当成長率を算出すると、次の通りです。
決算期 | 配当金 | 配当成長率 |
2017.3 | 33 | --- |
2018.3 | 44 | 33% |
2019.3* | 45 | 2% |
2020.3 | 45 | 0% |
*特別期末配当を除く
2018.3期は、対前年で11円と33%もアップしましたが、2019.3期、2020.3期にはほぼ横ばいです。
配当性向(当期利益・フリーCFベース)
日本では、配当性向を当期利益ベースで算出します。しかし、最近学んだこととして、米国株投資ではフリーCFベースで分析されます。私はこれを日本株にも応用しています。
フリーCFとは、営業CF+投資CFで算出される数値で、簡単に言えば、企業が自由に使える現金です。
フリーCFは、新たな設備投資、借入金の返済、内部留保、そして配当に使われます。そのため、配当株投資では重要な分析対象となりえます。
フリーCFが潤沢にあれば、配当の増額にも期待できます。一方、フリーCFが少ないのに配当を維持していたら、「そろそろ減配が近づいているかもしれない」と事前にリスクを察知できます。
2017.3期~2020.3期の配当性向を算出すると、次の通りです。
発行済み株数は、259,264,702株(2020.3.31時点)で算出しています。算出した数値は、若干、公式サイトとが異なります。
決算期 | 当期利益ベース | フリーCFベース |
2017.3 | 80% | 90% |
2018.3 | 88% | -27% |
2019.3** | 228% | 21% |
2020.3 | 190% | 20% |
**特別期末配当を含む
2017.3期は、当期利益ベース、フリーCFベース共に100%以下で安全圏内でした。
2018.3期は、当期利益が大幅に減少しましたが、増配したため、当期利益ベースで88%まで上がりました。フリーCFはマイナスでしたので、フリーCFベースはマイナスの数値でした。
2019.3期は、特別配当があり、当期利益ベースで228%と一見すると、異常値になっています。しかし、フリーCFが潤沢にあるため、フリーCFベースは21%と十分に安全圏内でした。
2020.3期は、当期利益が大幅に減少しましたが、配当を45円に維持したため、190%と異常値になっています。しかし、こちらもフリーCFベースは20%と、前年と同様に安全圏内にはまだいます。
2021.3期も、フリーCFベースの配当性向に注目しておきましょう。
まとめ
私が、松井証券を配当株として「有り」と判断した理由は次の通りでした。
売上高、当期利益の減少はやや気になるものの、2020年3月期の営業CF、フリーCFが大きくプラスです。
配当方針は、「配当性向60%以上」と株主還元を十分に考えられています。直近の方針変更もなし。
配当実績は、過去8年間一度も無配当はなく、継続性が十分にあります。ただし、今のところ増配には期待できないと考えています。
2020年3月期のフリーCFベースの配当性向は、20%と安全圏にあると考えています。
以上のことから、配当維持に期待し、配当利回り5.43%の配当狙いポートフォリオに組み入れても問題ないと判断していました。
しかしながら、7.27に開示された1Q決算短信では、「配当予想が未定」のままでしたので、安全を期して一旦売却しました。
ただし、業績は対前年同時期と比較してかなり良かったです。配当予想が開示される、もしくは、2Q月短信で配当予想が開示されまたら、組み入れるか検討しても良いでしょう。
関連記事
・会社員が手軽に年50回の配当を日本株投資で得るための3ステップ
・2020年7月度日本株レポート|配当収入目的で8銘柄に投資開始