ご存知のように、「ひふみプラス」は国内株式を中心とした、人気のアクティブファンドです。
2020年も「R&Iファンド大賞2020」の投資信託10年/国内株式部門で最優秀ファンド賞をしました。
「普段、積立NISAで積立投資をしているけど、特定口座でも一括投資(スポット購入)してみたい」、「一般NISAで、一括投資を検討している」と思っていませんか。
私の父は後者です。そしていつも聞かれるのが、「いつ、いくら、どのように買ったら良いんだ?」です。
明日、株価が上がるのか下がるのか、正確に予想することはできません。ましてや投資信託は、どの銘柄を何%保有しているかブラックボックスなので、予測することは不可能です。
ただ、これだと父の質問に回答できないので、基準や目安を作ることにしました。
同じような疑問を持っている方のため、ひふみプラスに一括投資をするなら、いつ・いくら・どのように買えば良いかの基準を解説します。
絶対的な正解はないですが、一つの考えとして参考になれば幸いです。
ひふみプラスの過去の基準価額の推移を確認
まずは、ひふみプラスの過去の基準価額の推移を、6つのフェーズで振り返りましょう。
2012.5.28(設立日)~2020.5.13の基準価額の推移は、次の通りでした。
2012年5月~2015年8月(図①)は、ずっと右肩上がりで基準価額が10000円から28000円付近と2.8倍も上昇しました。
2015年8月~2016年12月(図②)は、基準価額が23000円~28000円で下落と上昇を繰り返していました。
2017年1月~2018年1月(図③)は、急激な右肩上がりで基準価額も28000円から44454円(2018.1.23)と最高値を付けました。
2018年2月~2018年12月(図④)は、下落と上昇を繰り返し、年末に大きく下落し、基準価額は30984円(2018.12.25)となりました。
2019年1月~2020年1月(図⑤)は、基準価額が41572円(2020.1.20)まで回復しました。
2020年2月~2020年5月(図⑥)は、コロナショックの影響で、2月下旬、3月下旬と2段階で大幅に下落しました。
基準価額は30890円(3.16)に最も低くなりました。4月以降は大きく回復し、38391円(5.13)となりました。
ひふみプラスは、ベンチマークはありませんが、参考指標としてTOPIXを使用しています。
ひふみプラスとTOPIXインデックス(eMAXIS TOPIXインデックスファンド)のパフォーマンスを比較してみましょう。
2012.5.28時点の基準価額を100%として、両者の推移を算出しました。
グラフからもわかるように、両者のパフォーマンス差は顕著です。
TOPIXインデックスは、最低値が96.5%、最高値290.0%、直近では235.3%でした。
一方、ひふみプラスは、最低値が97.6%、最高値444.5%、直近では383.9%でした。
仮に2012.5.28に100万円ずつ投資していたとしたら、TOPIXインデックスでは96.5万円~290.0万円、ひふみプラスは97.6万円~444.5万円になっていたことを示します。
ひふみプラスは、いつ買えば良いか?
次の2つの考えで、買い時を検討してみてはいかがでしょうか。
- 相対的に市場平均が約20%下落している時
- 現時点の基準価額が、取得単価を大幅に下回っている時
いくら優良なアクティブファンドでも、市場全体が下落しているときは、その影響を回避することはできません。
そのため、市場平均を示す指標と、ひふみプラスの基準価額をウォッチして、相対的な下落を察知しましょう。
見るべき市場平均指標は、「TOPIX」と「NYダウ」がおすすめです。
ひふみプラスは、「2020年4月度の運用レポート」によると、資産配分比率は次の通りです。
- 国内株式:69.6%(うち、64.1%が東証一部銘柄)
- 海外株式:12.2%
- 海外投資証券:1.0%
- 現金等:17.2%
国内株式では、東証一部銘柄の比率が高いので、東証一部の全銘柄の変動を数値化したTOPIXを見るのが最適でしょう。
ひふみプラスでは、比率は低いものの、2017年6月から米国株への投資が始まっています。日本の超大型株の代替投資として、成長力をカバーする戦略です。
「2017年6月度の運用レポート」によると、当時はマイクロソフトとAmazonの2銘柄のみでした。
2020年では、巣ごもり銘柄「ドミノピザ」や、オンライン会議需要を見込んだ銘柄「Zoom」などにも投資していました。
多くが米国株の大型銘柄であるため、NYダウを見ておきましょう。
過去、大きく下落した2018年12月と、2020年3月の例を見てみましょう。
2018.1.4~2020.5.13の基準価額の推移は、次の通りでした。TOPIXはeMAXIS TOPIXインデックスファンド、NYダウはeMAXIS NYダウインデックスの数値を利用しています。
2018年末の部分を拡大してみましょう。
3者を比較しやすいように、2018.12.3を100%として、下落幅を見ましょう。
12月頭から、12月末にかけて大幅に下落しました。
12.25が最低値で、TOPIXが83.8%、NYダウが82.7%に対して、ひふみプラスは79.4%でした。1ヶ月の短期で見ると、相対的に約20%の下落でした。
1日単位では、12.21(金)→12.25(月)が下落幅が大きかったです。TOPIXが-4.3%、NYダウが-5.1%に対して、ひふみプラスは-4.6%でした。
下落から1か月後の1月末には、TOPIXが92.9%、NYダウが94.0%、ひふみプラス90.8%で、約10%回復しました。
次に、2020年2月~4月の部分を拡大してみましょう。
3者を比較しやすいように、2020.12.3を100%として、下落幅を見ましょう。
2月下旬から、3月中旬にかけて大幅に下落しました。
3.16が最低値で、TOPIXが73.9%、NYダウが81.1%に対して、ひふみプラスは78.7%でした。1ヶ月の短期で見ると、相対的に約20%の下落でした。
1日単位では、2.21(金)→2.25(月)と3.6(金)→3.9(月)の下落幅が大きかったです。
前者は、TOPIXが-3.3%、NYダウが-5.7%に対して、ひふみプラスは-3.3%でした。後者は、TOPIXが-4.9%、NYダウが-4.5%に対して、ひふみプラスは-4.6%でした。
下落から1か月後の4月末には、TOPIXが88.6%、NYダウが86.1%、ひふみプラス94.9%で、約20%回復とほぼ100%に近いかったです。
2つの下落事例から判断した、相対的に市場平均が下落している基準は「過去1ヶ月と比較して、約20%前後下落した時」です。
ひふみプラスは、国内株式の比率が高いため、NYダウよりはTOPIXに近い値動きをすることも考慮に入れておきましょう。
もう一つの買い時は、「現時点の基準価額が、取得単価を大幅に下回っている時」です。
こちらは、あなたがすでにひふみプラスを保有している時の考え方です。
例えば、2019年8月の下落期に、基準価額34932円(2019.8.26)で取得していた場合を考えてみましょう。
34932円を下回るのは、2020.3.9の33569円です。この時点で、取得単価に対して-3.9%です。
そこから、さらに下落し最低値は2020.3.16の30890円です。取得単価に対して-11.5%と大きく下落しています。
何%下落したら買うのか、難しいところがあります。私の目安は、取得単価に対して5%以上下落した場合です。
取得単価が34932円であれば、5%下落した33185円以下になったら、追加購入するといった具合です。
もちろんシビアに見たい方は、7%以上下落など自分ルールを決めても良いでしょう。
下落した理由は、「考えなくて良い」と考えています。
考えても、ファンドへの正確な影響を把握することはできません。それを考え、運用するのはファンドマネージャーの仕事です。
私たちは、あくまで「相対的に下落している」という数値を判断基準としましょう。
ひふみプラスは、いくら・どのように買えば良いか?
いくら・どのようにについても正解はありません。「ここが底だ」と判断することは不可能でしょう。
おすすめの買い方は、下落期に複数回に分けて買うです。
2018年末の例で考えてみましょう。
12.25~1.4までの基準価額の推移は次の通りでした。
- 12.25:30984円
- 12.26:31506円
- 12.27:33396円
- 12.28:33268円
- 2019.1.4:32448円
12.25の夜に「下落し過ぎ」と思ったとしましょう。翌日12.26から3回に分けて注文を入れます。
投資信託は、翌営業日の基準価額で約定されます。そのため、12.27、12.28、1.4の基準価額で約定されます。
最も安いときに一括で投資するのが、最もリターンが高くなりますが、それは難しいです。そのため、「下落し過ぎ」と判断したら、複数回に分けることをおすすめします。
底は拾えないですが、底に近い価格は拾えます。
リスク分散をしたい方は、3回を4回、5回と分けても良いでしょう。
金額は、あなたの余力に合わせて設定しましょう。
すでにひふみプラスを保有していて、追加購入したい場合は、金額が小さいと取得単価は下がりづらいです。
例えば、取得単価35000円で100万円分を保有しているとしましょう。30000円で100万円分購入すれば、取得単価は32500円(35000×100/200+30000×100/200)まで下がります。
一方、30000円で10万円分購入であれば、取得単価は34545円(35000×100/110 +30000×10/110)しか下がりません。
まとめ
ひふみプラスに一括投資する目安は、過去1ヶ月と比較して、約20%前後下落した時、現時点の基準価額が、取得単価を5%以上下回っている時と設定しました。
おすすめの買い方は、下落期に複数回に分けて購入するです。
絶対的な正解はないですが、ひふみプラスへの一括投資を考えている方の参考になれば幸いです。